小規模事業者持続化補助金と業務改善助成金:従業員について
中小企業や個人事業主にとって 、補助金や助成金の活用は事業の成長に大きく貢献します。特に「小規模事業者持続化補助金」や「業務改善助成金」は、販路拡大や労働環境の改善を目的とした支援制度として注目されています。
しかし、申請には「小規模事業者とは何か」「常時使用する従業員とは誰を指すのか」といった基礎知識が必要です。本記事では、それぞれの制度における定義を簡潔にまとめます。
小規模事業者とは?
業種の考え方
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):仕入れた商品をそのまま販売する事業や、技能を提供するサービス業(例:小売店、理美容業、学習塾など)。
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:宿泊サービスの提供や、映画館・遊園地などの娯楽施設を運営する事業。
- 製造業その他:自社で製品を生産する事業や、他社の製品に加工を施し付加価値を与える事業(例:食品加工業、機械製造業など)。
補助対象事業者
常時使用する従業員とは?
含まれない者
- 会社役員(従業員としての職務を兼務しない場合)
- 個人事業主本人および同居の親族従業員
- 短期雇用者(雇用期間が2か月以内、または季節的業務で4か月以内)
- 所定労働時間が通常の従業員の4分の3以下のパート・アルバイト
兼務役員とは?
- 役員報酬のみを受け取る役員は「常時使用する従業員」に含まれない。
- 労働契約に基づき給与(基本給・時間給)を受け取り、従業員として業務を行っている場合は含まれる。
- 代表取締役が経営のみを行う場合は含まれないが、営業や技術職に従事し給与を受け取る場合は含まれる。
賃金引上げ枠と提出書類
小規模事業者持続化補助金では、賃金引上げを行う事業者向けの「賃金引上げ枠」が設けられています。この枠を申請する際には、事業場内最低賃金を50円以上引き上げる必要があります。申請時には以下の書類を提出する必要があります。
- 賃金引上げ枠の申請に係る誓約書(様式7):事業場内最低賃金の引上げに関する誓約書。
- 直近1か月分の賃金台帳の写し:労働基準法に基づき作成された賃金台帳で、役員や専従者を除く全従業員分。
- 雇用条件が記載された書類の写し:各従業員の1日の所定労働時間や年間休日が明記された雇用契約書、労働条件通知書、就業規則など。
賃金引上げ枠の対象者に関する事例
- 時給1077円、週10時間程度のアルバイトを50円賃上げし、時給1127円にする場合も補助対象となる。
申請時にはこれらの書類を正しく準備し、申請書類とともに提出することで、円滑な審査が期待できます。
まとめ
- 小規模事業者の判断基準は業種ごとの従業員数。
- 「常時使用する従業員」に役員は含まれないが、労働契約に基づく給与を受け取る場合は含まれる。
- 所定労働時間の4分の3以上働く従業員のみ「常時使用する従業員」に該当する(小規模事業者持続化補助金の場合)。
- 業務改善助成金では、労働時間に関係なく、2か月を超える雇用期間がある労働者は「常時使用する従業員」に含まれる。
- 賃金引上げ枠申請時には、賃金台帳や雇用契約書などの提出が必要。
これらの基礎知識を活用し、補助金や助成金の適用を正しく判断しましょう。