ネイルサロンでも使える?補助対象経費を具体例で解説

「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」を検討する際に、特に重要なのが補助対象経費です。

補助金は、事業に関係する支出なら何でも対象になるわけではありません。
対象となるのは、補助事業に必要で、経費区分が明確で、見積書などの証拠書類で金額の妥当性を確認できる経費です。

また、既存事業との共用ではなく、原則として補助事業専用であることも重要です。

今回は、主な補助対象経費を整理したうえで、従業員3人のネイルサロンが「革新的新製品・サービス枠」を活用する場合の具体例を紹介します。


主な補助対象経費

本補助金で対象となる主な経費は、以下のとおりです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 外注費
  • 専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 建物費
    ※新事業進出枠・グローバル枠のみ
  • 海外旅費・通訳翻訳費
    ※グローバル枠のみ

なお、革新的新製品・サービス枠では「機械装置・システム構築費」が必須です。
そのため、単なる広告や外注だけではなく、新しい製品・サービスを開発するための設備やシステム導入が計画の中心になります。


機械装置・システム構築費

機械装置・システム構築費は、補助事業のために使用する機械装置、工具・器具、専用ソフトウェア、情報システムなどの購入・製作・構築・借用にかかる経費です。

補助対象となるのは、原則として単価10万円・税抜き以上のものです。

たとえば、ネイルサロンの場合は、以下のようなものが該当する可能性があります。

  • パーソナル診断システム
  • 予約・顧客管理との連携システム
  • 診断データベース
  • デザイン提案機能
  • 補助事業専用のソフトウェア

一方で、一般的なパソコン、タブレット、スマートフォンなど、他の業務にも使える汎用性の高い機器は対象外となる可能性があります。


外注費

外注費は、補助事業を進めるために必要な業務の一部を、外部の事業者に依頼するための経費です。

たとえば、以下のようなものが考えられます。

  • 新サービスに必要な設計の一部
  • 診断ロジックの設計
  • デザイン制作
  • 検査・分析
  • 加工
  • 試作品の一部制作
  • 専門的な業務の一部委託

ただし、補助事業そのものを丸ごと外注するような内容は注意が必要です。
あくまで、補助事業を実施するために必要な一部業務の外注として整理します。

また、WEBページ制作については、内容によって経費区分が変わります。
新サービスを紹介するLPやPRページ、キャンペーンページなどは、外注業者に依頼した場合でも、原則として**外注費ではなく「広告宣伝・販売促進費」**として整理するのが適切です。


広告宣伝・販売促進費

広告宣伝・販売促進費は、補助事業で新たに提供する製品・サービスの認知拡大や販売促進のために必要な経費です。

たとえば、以下のようなものが対象となる可能性があります。

  • 新サービスのLP制作
  • WEBページ制作
  • チラシ・パンフレット制作
  • 動画制作
  • SNS広告
  • WEB広告
  • 展示会出展
  • ブランディング・プロモーション

ネイルサロンの例では、「パーソナルネイル診断サービス」を紹介するLP、SNS広告、チラシ、動画制作などが該当します。

ただし、既存メニューの広告や、会社全体のPR、補助事業と関係のない広告は対象外となる可能性があります。

また、広告宣伝・販売促進費には上限があります。
目安は、事業計画期間1年あたりの新製品等売上高見込み額の5%までです。

たとえば、広告宣伝・販売促進費を60万円計上する場合、必要な新サービスの年間売上見込みは以下のように計算できます。

60万円 ÷ 5% = 1,200万円

つまり、広告宣伝・販売促進費として60万円を計上するには、補助事業で生まれる新サービスの年間売上見込みを、1,200万円以上で計画する必要があります。


対象外になりやすい経費

一方で、以下のような経費は対象外となる可能性があります。

  • 既存事業にも使う設備やシステム
  • パソコン、タブレット、スマートフォンなど汎用性のある機器
  • 通常営業用の備品
  • 店舗や事務所の家賃
  • 水道光熱費、通信費
  • 自社従業員の人件費
  • 販売目的の商品仕入れ
  • 単なる設備の買い替え
  • 補助金申請書・事業計画書の作成費用
  • 飲食費、接待費、消費税、振込手数料など

ポイントは、
「その経費が新しい事業・サービスのために必要だと説明できるか」
です。


ネイルサロンでの活用例

ここでは、従業員3人のネイルサロンが、革新的新製品・サービス枠を活用する場合を考えてみます。

従業員3人の場合、小規模事業者として補助率2/3が適用される想定です。
今回は、現実的な規模として補助金300万円を活用する例にします。


想定する新サービス

通常のネイル施術に加えて、顧客の爪の形、肌色、好み、過去の施術履歴をもとに、似合うデザインやカラーを提案する

「パーソナルネイル診断サービス」

を開発するケースです。

たとえば、以下のような仕組みを導入します。

  • 顧客情報を管理する専用システム
  • 施術履歴をもとにしたデザイン提案機能
  • 来店前にデザインを確認できる診断ページ
  • 新サービス専用の予約導線
  • 診断結果をもとにした高単価メニュー提案

単なる店舗改装や備品購入ではなく、
“来店前から自分に似合うネイルがわかる新サービス”
として計画することがポイントです。


補助金300万円の場合の経費イメージ

補助率2/3で補助金300万円を受ける場合、必要な補助対象経費は次のとおりです。

300万円 ÷ 2/3 = 450万円

つまり、補助対象経費450万円に対して、補助金300万円、自己負担150万円というイメージです。

経費区分 内容 金額例
機械装置・システム構築費 診断システム、予約・顧客管理連携、データベース構築 300万円
外注費 診断ロジック設計、サービス設計の一部外注 70万円
専門家経費 サービス設計・美容マーケティングの助言 20万円
広告宣伝・販売促進費 LP、WEBページ、チラシ、SNS広告、動画制作 60万円
合計 450万円

この場合、

450万円 × 2/3 = 300万円

となります。

自己負担額は、

450万円 − 300万円 = 150万円

です。


WEBページ制作はどの経費になる?

WEBページ制作は、内容によって経費区分が変わります。

新サービスの紹介ページやLP、キャンペーンページなど、PR・販促目的のWEBページであれば、原則として広告宣伝・販売促進費です。

一方で、診断機能、予約連携、顧客管理、データベースなどのシステム機能部分は、機械装置・システム構築費として整理できる可能性があります。

つまり、

PRページ部分:広告宣伝・販売促進費
システム機能部分:機械装置・システム構築費

と分けて考えるのがポイントです。


広告宣伝費の5%ルール

今回の例では、広告宣伝・販売促進費を60万円としています。

広告宣伝・販売促進費は、事業計画期間1年あたりの新製品等売上高見込み額の5%までという上限があるため、必要な年間売上見込みは次のとおりです。

60万円 ÷ 5% = 1,200万円

たとえば、以下のような売上計画です。

項目 想定
新サービス平均単価 10,000円
月間利用者数 100人
月間売上 100万円
年間売上 1,200万円

この場合、

1,200万円 × 5% = 60万円

となり、広告宣伝・販売促進費60万円は上限内に収まります。


通常設備の購入だけでは難しい

革新的新製品・サービス枠は、新しい製品・サービスの開発を支援する枠です。

そのため、以下のような内容だけでは対象になりにくい可能性があります。

  • 古くなったネイル機器の買い替え
  • 店舗内装のリニューアル
  • ネイルチェアやテーブルの購入
  • 一般的な予約システムの導入
  • 既存メニューの広告宣伝

大切なのは、
「これまでと何が違うのか」
「顧客にどんな新しい価値を提供するのか」
「そのために必要な経費なのか」
を明確にすることです。


まとめ

従業員3人のネイルサロンでも、革新的新製品・サービス枠を活用できる可能性はあります。

今回の例では、以下のような計画です。

項目 金額
補助対象経費 450万円
補助金額 300万円
自己負担額 150万円
新サービス年間売上見込み 1,200万円
広告宣伝・販売促進費 60万円

ポイントは、通常営業の設備投資ではなく、新しい価値を生み出すサービス開発として計画することです。

補助金申請では、
「使いたい経費」ではなく、「公募要領上、説明できる経費」
として整理することが重要です。

当社では、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の申請に関するご相談を受け付けています。
設備投資や新サービス開発を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。


※本記事は、令和8年6月公表の情報をもとに作成しています。申請にあたっては、必ず最新の公募要領・公式情報をご確認ください。